
この『少年の船』には、総務庁、運輸省、外務省の方々が講師として一緒に乗船しています。
「専門講話」では、普段なかなか聞くことのできない貴重なお話をうかがうことができました。

青少年の非行に目を光らす中高校生の意識度の結果は 総務庁青少年対策本部青少年指導専門職 江上晴文
総務庁は昭和59年にできたまだ新しい官庁です。主に各省庁間の種の連携を調整する目的で誕生しました。
その中の青少年対策本部の仕事の一つに国際交流事業があります。これは海外の青少年を日本に招へいしたり、逆に日本の青少年を海外に派遣したりしています。
また、この「少年の船」と同じように総務庁でも「青年の船」という船の事業をしています。これは皆さんより年上の大学生や着い社会人を対象に行っています。
私が所属している非行対策係では広報啓発活動の一つとして、毎年7月を「青少年を非行からまもる全国強調月間」とし、ポスターや電光掲示板などで、注意を呼びかけています。今年は、「誘惑には負けないよ。」をキャッチフレーズに展開しました。
その他に『電話相談カード』というカードを作成配布しています。これは、悩みをもった子が、先生や親にも相談できないような場合、国や地方公共団体には相談にのってくれる機関がありますので、その連絡場所などを記したカードです。今回、中学一年生を対象に配布しましたので、もしかするとこの中で持っている人がいるかもしれません。
また、総務庁では中高校生に対する調査を行っており、平成7年度の資料の中から意識に関する部分を少し紹介します。答えは選択で選ぶようになっています。
「女性が一番美しく見える年齢は」の質問では、中学生は高校生を、高校生は20代前後というように一つ上の世代の女性が美しいという傾向がありました。中でもやはり20歳前後が全体で一番多い答えでした。
次に「一番ほしいものは何ですか」の質問に対し、「顔やスタイルの良さ」「頭の良さ」「性格の良さ」の答えの中で、頭やスタイルの良さを選んだ人が一番多く、特に女性では圧倒的でした。次いで性格で、頭の良さは最後でした。皆さんは性格の良さと答えた人が多かったので、きっと性格を良くずれは、おのずと容姿にも現われてくるということでしょうか。(抜粋)

人間が一番のマルチメディア
交流が新しい創造を生む
外務省文化交流部文化第二課
都築 智
私たちの仕事について簡単に説明しようと思います。今皆さんはお金を払ってふじ丸に乗っていますが、だからといって操縦をするわけではありません。船長さんがいたりコックさんがいたりと、専属のスタッフがいるわけです。しかも彼らは皆さんの見えないところで仕事をしています。そのために、皆さんは自分の時間を持つことができ、研修をしたり、運動会に参加したりすることができるわけです。
国民とはこのふじ丸にとっての乗客であり、私たちはふじ丸を動かす機関の一部だと思ってもらえばいいと思います。その機関のそれぞれが得意な分野で乗客の活動を支えるために働いていると考えてください。
私の携わっている文化交流という仕事は、人と人とのやりとりが重要なのです。ある国の人を日本に呼んで日本というものを見てもらう。あるいは、日本からその国に行って見てもらう。これが一番有効な方法だと思います。
現在、電子メディアもあればインターネットもある。しかしその情報量は一人の人間が持つ情報量には負けます。人間が実際に行って対話してくることが一番の情報交換になります。
マルチメディアという言葉を固いたことがあるかもしれません。人間こそがマルチメディアなのです。人間は動くし、見るし、話すこともできます。人間が持っている情報が一番大きいので、人間を一人その国に送ることで、計り知れない情報のやりとりができるわけです。
学校に外国人の英語教師がいるところがあると思います。現在5千人程の外国人が学校や市役所などで働いていただいてますが、彼らは一方的に英語を教えに来ているわけではなく、彼らも日本からどれだけのものを学べるかという考えで、彼らが母国に帰った時、それが日本に対する大きな情報となっていくわけです。人と人が行き交うことによって情報が動いていく。
機械というのは同じことを練り返すのは得意ですが、新しいものを生み出すことはできません。人間は機械と違って創造することができます。違う土地、新しい場所で新しい創造をすることができる。この点でも、既成概念を変える創意工夫のできる人間同士の交流が、これからもますき必要になってくると思われます。(抜粋)

運輸省の働きと
次世代の運輸技術
運輸省運輸政策局政策課
金子富一
運輸省の仕事を大きく分けますと、陸上運輸、海上運輸、航空運輸の三つに分類されています。
自動車や鉄道といった陸上輸送は、皆さんにとっても身近かに感じられるものかもしれません。また、車検場で車の検査・登録をするのも運輸省の仕事の一つです。海上輸送では、船舶による貨物・旅客輸送の効率を図ること、船舶や,港の開発などに関することなどです。航空輸送については、飛行場の管制業務など空の安全を守ることを行っていきす。
この他に、旅行業者の登録、船員さんの育成、海を守る海上保安、気象衛星ひまわりでおなじみの気象観測・監視に関することなども仕事です。
新時代に向けての研究も数多く行っています。
自動車交通を情報化し、安全で快適な車社会を目指す「ITS高度道路交通システム」の開発が進められていますし、ASVといって自動車自体の国体の知能を高度化し安全運転の向上が考えられています。低公害車や鉄道ではリニアモターカーの開発も行われています。
海に目を向けると、横浜のみなとみらい21の旅客ターミナルは海の上に浮いた構造になっていますが、これを拡大して、海上空治や物流基地に利用しようといったメガフロートも考えられています。これは水深に関係なく海域を利用できる、地震の影響が少ないなどの利点があります。貨物輸送では超高速貨物船テクノスーパーライナーが、大量輸送のメリットとスピードアップを狙った次世代の輸送として期待されています。
空では、99年に打ち上げが決まった運輸多目的衛星を利用した航空管制。航空交通量の増加に対応しようとしていきす。このように21世紀に向けての開発研究も盛んに行われているわけです。(抜粋)

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